最終更新日 2025年5月15日 by michidoo
目次
1.仏壇の目的とは
仏壇とは先祖の魂を祀るために必要となる重要なものです。
仏教が日本古来の信仰と融合することで、両者において広く用いられるようになりました。
もともとの役割は住まいの中に設けられるお寺です。
御本尊は信仰の中心であり、それを祀るのが本来の目的だったのです。
そこから時代が進むとともに、少しずつ目的に変化が生じるようになりました。
結果として御本尊だけでなく、先祖をしのんだり気持ちを伝えたりする場所にもなったということです。
欧米化が進んだことにより、洋室にも合うようなデザインのものも多くなりました。
今後もライフスタイルの変化によって、設置する目的も少しずつ変わっていく可能性があります。
2.仏壇にはさまざまな作法が存在する
いろいろな種類が存在しますが、どれにも共通するのは丁重に扱う必要があるということです。
さまざまな作法が存在するので、自宅に設置する場合はそれらを把握しておかなければなりません。
しかし把握するのと同時に、不便な点が多いと感じる人も多いかもしれません。
たとえば、他の家具と同じような気持ちで安易に移動させるのはご法度です。
移動させるときは仏教に関する習慣を重視しなければなりません。
したがって引っ越しなどをするときは、特に警戒を要する状況になるということです。
そう言われても、慎重に運ぶ以外に何に気を付けるべきか分からない人もいるでしょう。
3.仏壇の移動は禁止
まず基本的に移動すること自体が禁止だと考えておきましょう。
先祖の魂が入っているので、それを動かすことは大変な無作法に当たるからです。
実際には難しいケースも多いですが、設置した後は移動させないのが鉄則となっています。
もし引っ越しなどの特別な事情により移動する必要がある場合は、魂抜きといった作業によって供養をしてもらわなければなりません。
いったん仏壇から先祖の魂を抜いておいて、その間に移動させるといった具合です。
目的の場所に設置したら、次は魂入れという作業によって再び魂を入れます。
仏教の流派によって呼び方が変わりますが、基本的には同じ作業を行うことになります。
もちろんこういった魂に関する作業を自分で行うのは不可能です。
基本的には寺院などに頼むことになるでしょう。
4.引っ越しの場合はあらかじめ予算に組み込んでおく
お布施が必要になるので、余裕をもって準備しておくのが望ましいです。
交通料金を請求されることがありますし、もてなしの茶なども用意しなければなりません。
引っ越しの場合は、あらかじめ予算に組み込んでおくことが重要です。
運ぶ作業についても注意点があります。
→仏壇の移動・引越し方法 – はじめての仏壇ガイド | いい仏壇
持ちやすいからとって横向きにするのは良くありません。
元の立った状態のままで動かすのが基本です。
位牌などは倒れて壊れてしまう恐れがあるので気を付けましょう。
自己責任として大切に持って運ぶことが求められます。
白い生地で包み込むような配慮を行えるのが理想です。
厳密には上記のような風習がありますが、同じ住まいの中で移動させるのなら行わないことも多いです。
5.煩わしさのため仏壇を設置しない人も増えている
屋外に出ないのであれば、必ずしも必要はないという認識が一般的になっています。
しかし不安を感じる場合は、寺院に必要性の有無について確認したほうが良いでしょう。
そのように慎重に判断することも敬意の表れに他なりません。
こういった決まりに煩わしさを感じて設置しない人も増えています。
以前は設けるのが常識でしたが、現代社会では仏壇がない家も決して少なくありません。
人によって必要と感じる役割が大きく異なるので、しっかりと判断して決めることが重要です。
まず精神的な拠り所としての役割が挙げられます。
信仰に対して無関心な人であっても、心のどこかでは仏様や先祖を敬う気持ちを持っているでしょう。
そのような気持ちがある限り、しっかりと祈りを捧げることで心に安寧をもたらせる場合があります。
好きだった故人に心を向けるだけでも、精神が充足していくのを感じられるかもしれません。
6.仏壇は親族の関係において扇の要になりうる大切なもの
また、希薄になりつつある親族の関係を強固にする役割もあります。
仏壇は親族の関係において、扇の要になりうる大切なものです。
先祖を敬うための象徴があることで、親族の間に心のつながりができます。
正月や彼岸といった行事において、親族を集めるための立派な理由にもなるでしょう。
もちろんお墓参りも重要ですが、家の中に同様の役割を果たせるものが存在していることは大きな意味があります。
供養できる場所が身近にあることで、故人との想い出をいつも感じられますし、生前のぬくもりを忘れてしまうのも防ぎやすいです。
幼い子どもに対しても命の大切さを考えさせて、亡くなった祖父や祖母への気持ちが風化することを防止しやすくなります。
違う表現をすると、日常的に一族の間で行っていく命の継承の場とも捉えられます。
仏壇を丁重に扱う両親の姿を日常的に目にすることにより、子どもたちの中で先祖を敬う気持ちが養われていくということです。
口頭では伝わりにくいことなので、そのような教育を行えることも仏壇の大きな役割といえます。