雛祭りは奥が深い!知ると面白い由来と人形の役割

最終更新日 2025年5月15日 by michidoo

雛人形を飾る理由とは

雛祭りは女の子にとって特別なイベントで、綺麗なお人形を飾って美味しい料理や雛あられを食べる楽しいお祭りです。

かつて私の家でも子供の頃は豪華な雛人形を飾り、女の子だけの華やかな一日を楽しんだものです。

しかし、大人になるにつれていつの間にか薄れていく女の子だけの特別な行事。

とても寂しいものを感じますが、実は日本古来の大切な行事であり奥の深いものなのです。


写真/http://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/264より

そもそも、なぜ雛人形を飾るのでしょうか。

雛祭りは元々中国伝来の風習で、古代中国では3月の初めの巳の日に水で体を清め厄払いをする祭りがありました。

その上巳(じょうし)の節句が日本に伝わったことと、日本で昔から行われていた人形(ひとがた)に厄を移す風習が一体となって雛祭りの原型となりました。

平安時代になると祈祷師を呼び、祈りを捧げて人形に厄を移し、お供え物を備えて川や海に流す流し雛という行事となりました。

昔は医者がほとんどおらず良い薬もあまりありませんでしたので、赤ちゃんが生まれるとどの家でも人形を飾り、赤ちゃんの病気やケガの身代わりをしてもらおうと考えました。

これが江戸時代になると家庭で人形を用意して飾り、女の子の生涯の幸福を願う雛祭りへと変わっていきました。

今の世の楽しいイベントは、かつては心の底からの真剣な行事だったということです。

お内裏様とお雛様の位置

しかし、親が子のために行う気持ちは昔も今も同じです。

お内裏様やお雛様など美しい人形たちにうっとりしてしまう人も多いと思いますが、この人形たちがどのような存在かを知るととても面白いです。

まず、お内裏様は「天皇」のことを表しており、お雛様は「皇后」のことを表しています。

ちなみに関西と関東では、お内裏様とお雛様の位置が違います。

関東ではお内裏様が向かって左、お雛様が右となっています。

関西では偉い人が右に座るという風潮が受け継がれており、関東では西洋文化の影響を受けて位置が変化したそうです。

お内裏様のお付きの男性である右大臣と左大臣ですが、随身(ずいじん)とも言われます。

常にお内裏様と共に行動し、時には恋の橋渡しも行うということです。

雛壇に向かって右が「老」の左大臣で、向かって左が「若」の右大臣です。

同じくお内裏様とお雛様にお仕えする三人官女は、食事や身の回りの世話をする役割を持っています。

楽器を奏でたり、歌を詠んだり、家庭教師もこなします。

中央の官女は一人だけ眉がありませんが、職人さんのミスではありません。

これは眉を剃りお歯黒をしているもので、既婚女性だということが分かります。

おそらく一番年上で官女長であり、後の二人は若い官女です。

五人囃子は楽団なのですが、元服前の貴族の師弟です。

髪を結んでおらず少年の髪をしています。

この少年たちはアピール次第では宮中で重宝してもらえるかもしれませんので、心の中は実は野心でいっぱいなのです。

知らなければとても想像出来ない五人囃子の心情がとても面白いです。

向かって右から謡、笛、小鼓、大鼓、太鼓で、音の大きい順になっています。

一番下には三人の仕丁(してい)がいて、宮中の雑用係をしています。

仕丁は身分が低いので、表情が豊かで楽しませてくれます。

雛祭りは桃の節句とも言われますが、節句とは季節を分ける節目のことを言います。

これは中国から入ってきた考えなのですが、奇数の数字が重なる日には不吉なことが起こると考えられ、災いや邪気を払うために祭りをするようになりました。

なるほど、5月5日や7月7日、9月9日も端午の節句や七夕の節句、重陽(ちょうよう)の節句としてお祭りをします。

それぞれ季節の植物が飾られるのですが、3月3日の上巳の節句は言わずと知れた桃の花で、端午の節句は菖蒲を飾り、七夕の節句は笹を、重陽の節句では菊を飾ります。

雛祭りは何歳までのイベントなの?

ところで、雛祭りは何歳までのイベントなのでしょうか。

人によって考えは違うのですが、特に決まりはありません。

結婚するまででも良いみたいですし、それこそ一生ものなのです。

親の思いと雛人形は、一生自分を守ってくれるものとして何とも心の温まる存在です。

出し入れは大変ですが、押入れに仕舞い込まずに一年に一度は明るい場所に出す方が良いと感じます。

また、雛人形を早く仕舞わないと婚期を逃すと聞いたことがあると思いますが、これは迷信です。

片付ける時にきちんと片付けられる女の子になるように、そして片付ける=お嫁に出すという意味もあるようで、いずれにしても親が娘を想う気持ちが込められているのでしょう。

最近で多いのがコンパクトなタイプの雛人形で、ガラスケースにお内裏様とお雛様だけのものや、より豪華なところで三人官女や五人囃子も一緒になったものを選ぶ人が多くなっています。

さらに右大臣と左大臣が付いているものもあります。

マンションなどの住居事情が背景にあり、ガラスケースではないにしても和室一室を使うような豪華絢爛な雛人形よりも、3段ほどのかわいい雛人形がよく選ばれています。

 

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